新型コロナウイルス対策の漢方対策
先日「新型コロナウイルス感染への中医学・漢方対策」というテーマでZOOM講義がありました。
修琴堂大塚医院院長、漢方産業科促進研究会代表理事の渡辺賢治先生と、北京の公安門病院の路京華先生がデルタ株についての漢方治療というテーマでお話しされました。
最近感染が急速に広がっているデルタ株は、頭痛、咽頭痛、鼻水が出るので症状が分かりやすい一方、検出されたウイルス量が非変異株に比べて1200倍と多く、増殖速度が速いといった特徴があります。
渡辺先生の講義では、軽度から中程度の初期には漢方の対応が出来るのではないかということと、感染スピードが増している今現在、出来るだけ速い段階で漢方薬を服用すると良いのではないかという見解をされていました。漢方を服用する利点として、生体防御反応を引き出す目的なので副作用が少なく、軽度から中度の段階で漢方治療を施すことで重症化を防ぎ医療崩壊を防ぐのではないかと講義でお話しされていました。
中国各地においては新型コロナウイルス感染症漢方治療が適用され、治療効果をあげています。実際に幅広く使われているのは「清肺排毒湯」という処方です。日本には同じ製剤はありませんが、日本で入手可能なエキス剤の中で「小柴胡湯」「勝湿顆粒(カッ香正気散」「麻杏止咳顆粒(麻杏甘石湯)」この3つを合わせると似たような処方になります。喉の痛みがあるのであれば、清熱解毒薬の「銀翹散」なども効果が期待できるのではないかと思います。(清肺排毒湯は日本感染症学会のHP上に「COVID−19感染症に対する漢方治療の考え方」(金沢大学附属病院漢方学科 小川恵子先生)に掲載されています。その中で清肺排毒湯は幅広い病態に用いることの出来る処方として紹介されています。)
これはあくまでもコロナに罹患された方の処方なので、コロナにならないために自己免疫をあげるという観点ですと、①玉屏風散(ぎょくへいふうさん)商品名(衛益顆粒 えいえきかりゅう)②生脈散(しょうみゃくさん)商品名(麦味参 ばくみさん)③補中益気湯(ほちゅうえっきとう)商品名同じの3つが「基礎疾患のないひとの COVID-19 に対する未病漢方」として漢方産業化推進研究会という渡辺賢治先生が主催されている団体から発表されています。
使い分けとしては、呼吸器系が弱い方もしくは基本は衛益顆粒(えいえきかりゅう)、心臓疾患がある方は麦味参(ばくみさん)、消化器系が弱い方は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)という使い分けが良いかと思います。
漢方産業化推進研究会のホームページのトピックスの2020年4月30日から「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する未病漢方活用法」としてご覧いただけます。
コロナが段々と身近になってきている昨今、渡辺先生いわく軽症や中等症の方をいかに漢方などでケアして重症化させないかということが、医療崩壊を防ぐことために大切だと話されてました。
広島は入院、ホテル療養もまだなんとか出来る状況ですが、関西、首都圏では自宅療養を余儀なくされている状況です。
そういう方に漢方が少しでも届いて、重症化が少なくなることを願います。