胃腸風邪の時だけではもったいない「勝湿顆粒」
こんにちは、漢方なつめの福山です。
漢方の胃薬というと数多くあります。六君子湯が有名ですが、半夏瀉心湯や平胃散、安中散など・・・まだまだありますね。
当店では何がよく出るかというと、勝湿顆粒や温胆湯が多いです。もちろん胃腸の症状と言っても人ぞれぞれなので症状によって選ぶものは違いますが、少し胃がもたれる、食欲がわかない、食べれないといったご相談には上記の2つの漢方がよく効くような気がします。お客様にも「これ良かったからもう少しください」とリピートされることが多いです。
勝湿顆粒も温胆湯もどちらも胃腸の湿気を取る漢方薬です。勝湿顆粒は効能に「感冒(かぜ)」「急性胃腸炎」と書いてあるので、胃腸風邪に使うものだと思っている方も多いです。もちろんそれは間違いないのですが、胃腸風邪の時だけ使うにはもったいないなあと思うのです。
勝湿顆粒は胃薬の中でも「芳香化湿薬」と呼ばれ、胃腸内でモヤモヤと停滞する湿気を乾燥除湿させるような漢方です。また、爽やかな香りをもつ芳香成分は嗅覚や味覚を刺激することで胃液の分泌や胃の動きを助け、食欲を増進させます。胃の中に湿気が溜まるとそれだけで胃の動きが悪くなるので、まず湿気を対処して香りで胃の動きを取り戻すというイメージですね。日本はジメジメしやすい気候ということもありますし、水が溜まりやすい体質が多いので、やはり勝湿顆粒が合う人が多いのだと感じます。
胃腸風邪でなくても胃が重い感じがある時や消化不良などがある時、お腹がゆるく1日に何回も柔らかい便が出るなあという時にはまず飲んでみられると良いと思います。(消化不良の時は晶三仙と合わせると良いですね。)
補足ですが他の胃腸の漢方、六君子湯(健胃顆粒)・温胆湯についても書いておきます。
【六君子湯(健胃顆粒)】・・胃を動かす働きがあります。お腹がすかない、食欲がわかない、体重が増えない、動くとすぐ疲れやすい場合、慢性的に胃が弱い場合
【温胆湯】・・よりしつこい粘稠な「痰湿」をとる働きがあります。吐き気・胃が重い・胃やみぞおちのつかえ・不眠・精神不安がある場合
温胆湯は胃腸に対してだけでなく、メンタル的な症状にもよく使います。これは漢方用語で言う「痰」は胃腸の機能を阻害すると同時に、精神的な不安を起こすといわれているためです。舌にべったり苔がついている時は温胆湯の適応となります。(漢方独特の考えで、この「痰」の考え方は捉えにくく漢方を勉強する上で難しいところだと感じています。)
今回は勝湿顆粒について詳しく書きました。胃薬の常備薬として準備しておくと良い漢方です。ぜひご活用ください。